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WPATHファイル:WPATH会員は外科的手術で人体を傷つけている - p.27~29


WPATH会員は外科的手術で人体を傷つけている
 WPATHのメンバーは、未成年者や重度の精神疾患に苦しむ患者を含む患者に外科的危害を加えています。 2023年5月のディスカッションで、コロンビアの外科医は、膣形成術の手術を希望していた14歳の生得的男性をどのように扱えばよいかわからないといいました。

 前述したように、膣形成術は、陰茎を切断し、陰茎組織を使用して偽膣を作成する大手術です。 この手術は、合併症の発生率が高く、回復に時間がかかり、創傷が閉じるのを防ぐために、手術部位を生涯にわたってダイレーション(器具を用いた人工膣の拡張)する必要があります。 また、膣の深さを維持するためにダイレーターを物理的に挿入するダイレーションは、不快感や痛みを引き起こしがちで、術後すぐに1日3回行う必要があります。これには 1 日あたり 2 ~ 2.5 時間ほどかかる場合があります(96)。患者が回復するにつれて、ダイレーションは徐々に必要頻度が減りますが、一生涯週に一度のダイレーションは必要です。

 クリスティン・マッギン医師は、多くの病院が18歳未満の手術を禁止しているため、その件は「深入りしない」よう勧めました。マッギンは、過去17年間で18歳未満の患者に約20回の膣形成術を行ったと報告し、「すべてが……完璧な結果になったわけではない」 しかし「私が知る限り(強調)、自分の決断を後悔している患者一人もいない」と付け加えました。

 マッギン医師は、「問題があった一人」は、ダイレーションのスケジュールを守れず、その結果、膣の狭窄に苦しんだ人だと説明し、18歳以上の患者も同じダイレーションの困難を抱える可能性があると付け加えました。

 膣狭窄症、または新膣狭窄症は、陰茎反転膣形成術後の一般的な合併症です。 2021年の研究では、マウントサイナイ病院で膣形成術を受けた男性の約15%が、新膣狭窄症のために1回以上の再手術を受けなければならなかったことがわかりました。 そのうちの73.5%は、術後のダイレーションのスケジュールを守ることができませんでした(97)。 膣形成術の再手術は、瘢痕組織のためにより困難であり、また、再手術後のダイレーションをより困難で痛みを伴うものにします(98)。

 新膣狭窄症は、膣形成術後に発生する可能性のある多くの合併症の1つにすぎません。膣形成術の合併症に関するデータの2018年のレビューでは、軽微な審美的な問題から直腸損傷や重篤な尿路機能障害などの重篤な合併症に至るまで、考えられるすべての合併症の長いリストが示されています(99)。  

 また、2023年5月には、WPATHフォーラムの産婦人科医が、陰茎反転膣形成術後、尿道から前立腺分泌物が漏れて苦痛を感じている患者について説明しました。産婦人科医が得られた答えは、治療法がないというだけでした。「トランス経験のある女性」を自称する看護学の講師は、その患者にこう言ってみればと提案しました。「ジェットコースターのようなスリルだと思えばいいじゃない? そういうのはオーガズムの先触れじゃないですか……何が気に入らないの?」 と。

 これらのやり取りは、WPATHの外科医が膣形成術後のこれらの有害な結果を認識しているにもかかわらず、未成年者にそのような思い切った手術を受けることを勧めるだけでなく、若い患者がその後の人生でどのように推移するかを監視するためのフォローアップも行っていないことを意味しています。倫理的な外科医なら、未成年者が本当に困っている場合は実験的医療を行うかもしれない。しかしその場合は、臨床試験の厳格な規制を守り、成人期まで患者の熱心なフォローアップを行い、そのような抜本的な処置が成人の機能に与える影響を評価するでしょう。 最高品質の医療を提供することに真摯に取り組んでいる外科医は、その患者が性器の手術後にパートナーと長期的な親密な関係を確立し、維持する能力を損なうかもしれないことに心からの懸念を表明するでしょう。 しかし、「私が知る限り」という発言は、マッギンが若い患者が順調に回復したと思い込んでいるだけで、実験が肯定的な結果をもたらしたかどうかを知るすべがないことを示しています。

 しかし、思春期に性器手術を受けた生得的男性の生活が改善するという証拠がないにもかかわらず、マッギンは、若者が人生を変えるような大手術を受けるのに理想的な時期は「高校最後の年の前の夏」だと考えています。 WPATHのバウワーズ会長も、若年者に手術を行うことには消極的であるといいながらも、「高校が終わる前に手術を受けるのは、彼らが育った家庭で両親が見守っているという点で、理にかなっている」と同意しました。

 また、重度の精神疾患患者に外科的危害を加えたメンバーがいる証拠も、流出したファイルにあります。 日付のないメッセージスレッドで、あるセラピストは、「深刻な精神疾患を持つトランスジェンダーのクライアント」を外科手術に紹介するのは、「特に、膣形成術に必要な長期にわたる回復期間と『手術後』のケアを考えると、その後の精神の安定性を予測できない」という懸念を表明しています。

 カリフォルニア州の結婚・家族セラピストは、その問題は、その精神病患者がどれだけサポートを受けているか、術後に回復するための安全な場所があるか、「ダイレーション、洗う、監視する」などの指示を理解しているかどうかなど、多くの要因に依存するでしょうね、と答えました。 彼女は、過去15年間で、(ジェンダー肯定手術の)紹介状を書くことを断ったのは1通だけで、それは診断をした患者がその時点で精神病の症状を示し、評価セッション中に幻覚を見た」からだと付け加えました。

 「それ以外は、全員が手術可の紹介状と保険の承認を得て、(おそらく)幸せに暮らしています」とセラピストは言いました。 彼女はそうやって、 大うつ病性障害、c-PTSDと診断された人、ホームレスの人を生殖器手術に紹介してきたのです。

 ここで、セラピストが「おそらく」という言葉を使ったことは、前述の外科医の「私が知っている限り」と同様に、患者の体系的なフォローアップがされていないことを示しています。 これは、自分が危険で侵襲的で実験的なことをしていることを知っている外科医なら無理もありません。 フォローアップがなければ、重度の精神疾患の人が、術後の毎日二時間以上の困難な術後ダイレーションや長い回復期間に対処したり、パートナーと親密な関係を形成する能力や自身の健康状態に手術が与えた影響に対処したりできたかどうかを知る方法はありません。WPATHに所属する外科医は、そのような患者の転帰について少しも好奇心を抱いていないようです。

 前述のセラピストは術後直後の患者のサポートレベルを懸念していましたが、彼女の態度は、ジェンダー肯定医療従事者の近視眼的な思考を示しています。 WPATHのメンバーは通常、劇的で人生を変える医療介入による短期的な患者の満足度に焦点を当てており、患者が20年、30年、または40年後にどうなるかについてはほとんど関心がないようです。

 WPATHのメンバーはまた、重篤な変性疾患を持つ人々が性的特性変更手術を受けるのを喜んで許可します。 ニュージャージー州の臨床看護師は、ベッカー筋ジストロフィーを患う22歳の生得的男性が、エストロゲンの服用を開始し、後に膣形成術を受けることを望んでいることについてアドバイスを求めていました。 看護師は「ジェンダー肯定ホルモン療法」を進める上では何の障害もないと思っていましたが、スレッドでは外科的処置中の麻酔に伴う潜在的なリスクについて懸念が提起されました。 特筆すべきはその看護師が、膣形成手術が患者の健康状態全般や術後の長い回復期間を管理する能力にについて懸念を示した兆候がなかったことです。

 また フォーラム内の他の人々は、高いボディマス指数(BMI)に基づく外科的制限に反対しています。 肥満は手術に伴うリスクを高め、手術時間の長期化や手術部位感染のリスク増加などの合併症を引き起こすことは広く認識されています(100,101)。したがって、外科医が選択的手術を許可するBMI制限を設けることは標準的な慣行です(102)。

 しかし、WPATH内には、肥満の女性患者が選択的両側乳房切除術を拒否されることに不満を持つメンバーもいます。 グループ内の研究員は、これは「全身性ファットフォビア(肥満恐怖症)」によるものだとし、患者の肥満が悪い結果をもたらすという従来の観念こそが間違っていると考えます。「体重バイアス(体重に対する偏見)」が、患者のケアや手術の仕方に影響を与えていると。 このWPATHのメンバーは、「トランスジェンダーは摂食障害の有病率が高い」ことを認めながらも、手術をやめればこれらの問題を悪化させる可能性があると主張しました。

 ワシントンのソーシャルワーカーは、体重を減らすように言われた「乳房切除術を希望する患者」が、それをきっかけに「摂食障害」になった話をしました。そのソーシャルワーカーは、サンフランシスコの外科医でWPATHのメンバーであり、BMIの制限がないモッサー博士に連絡することを検討していました。モッサー博士のウェブサイトには、BMIが65の患者に選択的両側乳房切除術を行ったと記載されています(103)。

 2022年、WPATHに所属する外科医で、何十万人もの若いフォロワーに自分のサービスを宣伝する風変わりなTikTokビデオを作成することで有名なSidhbh Gallagher医師は、 動画で両側乳房切除術を「おっぱいをポーイ:Yeet the Teets(訳注:Yeetは何かをゴミのように投げ捨てる意のスラング)」と叫び、術後重篤な合併症を経験した何人かの肥満患者から猛反発を受けて炎上しました(104,105)。 ある若い患者は、創離開(訳註:手術後に縫合創が開いてしまった状態)とその結果、危うく致命的になるところだった感染症の悲惨な話をしました(106)。

96)  “Use It or Lose It: The Importance of Dilation Following Vaginoplasty.” MTF Surgery, 2023, https://www.mtfsurgery.net/dilation.htm

97) Kozato, A., Karim, S., Chennareddy, S., Amakiri, U, O., Ting, J., Avanessian, B., Safer, J. D., et al. “Vaginal Stenosis of the Neovagina in Transfeminine Patients after Gender-Affirming Vaginoplasty Surgery.” Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open 9, no. 10S (2021). https://journals.lww.com/prsgo/fulltext/2021/10001/

98) vaginal_stenosis_of_the_neovagina_in_transfeminine.103.aspx.
“Vaginal Depth and Avoiding Stenosis.” Gender Bands, 2021, https://www.genderbands.org/post/marinating-vaginal-depth-and-avoiding-stenosis

99) Ferrando, C. A. “Vaginoplasty Complications.” [In eng]. Clin Plast Surg 45, no. 3 (Jul 2018): 361-68. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29908624/

100) Tsai, A., & Schumann, R. (2016). Morbid obesity and perioperative complications. Curr Opin Anaesthesiol, 29(1), 103-108. https://doi.org/10.1097/aco.0000000000000279

101) Osman, F., Saleh, F., Jackson, T. D., Corrigan, M. A., & Cil, T. (2013). Increased Postoperative Complications in Bilateral Mastectomy Patients Compared to Unilateral Mastectomy: An Analysis of the NSQIP Database. Annals of Surgical Oncology, 20(10), 3212-3217. https://doi.org/10.1245/s10434-013-3116-1

102) Farquhar, J. R., Orfaly, R., Dickeson, M., Lazare, D., Wing, K., & Hwang, H. (2016). Quantifying a care gap in BC: Caring for surgical patients with a body mass index higher than 30. British Columbia Medical Journal, 58(6).
103) Mosser, S. Top Surgery Eligibility FAQ. Gender Confirmation Center. https://www.genderconfirmation.com/eligibility-faq/#:~:text=Mosser%20does%20not%20have%20a,the%20patient%27s%20primary%20care%20physician

104) Gallagher, S. (2024). GenderSurgeon. https://www.tiktok.com/@gendersurgeon?lang=en

105) Buttons, C. (2024). TikTok Doc’s Trans Patients Post More Gruesome Stories Of Post-Op Complications. The Daily Wire. https://www.dailywire.com/news/tiktok-docs-trans-patients-post-more-gruesome-stories-of-post-op-complications

106) Rylan. (2022). Top Surgery with Dr. Gallagher Almost Cost Me My Life. Medium. https://rylan545.medium.com/top-surgery-with-dr-gallagher-almost-cost-me-my-life-d68cda71c543

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