ジェンダー医療研究会:JEGMA

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キャス博士の報告書:キーポイントと推奨事項 - p23.~

キーポイントと推奨事項

16. 患者の紹介にあたって考えられるキークエスチョンについて述べると、この報告書は、既知と未知のことを示し、NHSが安全、効果的、思いやりを持って対応する方法について答えることしかできず、いくつかの問題はより広い社会的議論に委ねられています。しかし、できるだけ幅広い理解を得るために、本報告書では、基本的な科学的および臨床的原則に関していくつかの情報(図1を参照)を示しています。

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17. 英国のNHSジェンダーアイデンティサービス(GIDS)を受診する子どもや若者の数は、2009年以降、年々増加しており、2014年には指数関数的に増加しています。

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18. 2009年以前は、ジェンダーアイデンティサービス(GIDS)はあまり注目を浴びていませんでした。当時、このサービスで診察を受けた子どもは年間50人未満で、治療を受けている子どもはさらに少なかったのです。 しかし、未曾有の需要とジェンダーサービスにアクセスする若者の人口動態の変化により、未解決の問題が次々と発生しています。 長い順番待ちリストと持続不可能なサービスモデル、この新しいグループに対応することは、従来のサービスのキャパシティを超えていました。

19. レビューはこれからの対応に焦点を当てており、過去の対応のすべてを精査し切れてはいません。 しかし、現在の状況につながる背景を十分に理解し、過去および現在の臨床管理に関連する教訓を学び、なぜ変化が必要なのかを理解するには、過去を振り返る必要があります。

20. ジェンダーアイデンティサービス(GIDS)は1989年に認定されました。当時、このサービスでは年間10人未満の子供に対応し、そのほとんどが思春期前の生得時男性でした。 また、主な焦点はセラピーであり、16歳頃までにホルモン治療を紹介した患者はそのごく一部でした。

21. 治療アプローチは、二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)を使用して初期に第二次性徴を抑制する「ダッチ・プロトコル」の出現で、大きく変化しました。2011年、英国は「早期介入研究」で二次性徴抑制剤の使用を試行しました。

22. 2015-2016年の早期介入研究の予備的な結果では、有益性は示されませんでした。この研究の結果は2020年まで正式に発表されず、その時点では肯定的な測定可能な結果がないことを示しました。それにもかかわらず、2014年以降、二次性徴抑制剤(思春期ブロッカー)は研究のみのプロトコルから通常の臨床診療で利用できるものに移行し、元のプロトコルの選択基準を満たさなかった可能性が高い、より広範な患者グループに投与されました。

23. さらなる精査なしに利益が不確実な治療法を採用することは、確立された慣行から大きく逸脱しています。 これは、研究結果の発表が長期間遅れていることと相まって、意図された利益に対する患者の期待と治療の需要という点で重大な結果をもたらしました。

24. 2019年にNHSイングランドが計画した医療サービス仕様の更新にあたって、この分野での医療介入に関する公表されたエビデンスを調べたところ、脆弱なことがわかりました。 NHSに助けを求めるジェンダーに疑問を抱く児童や若者の増加をどのように支援するのが最善かについての明確な証拠がない中、この独立レビューは2020年秋にNHSイングランドによって将来の方針を決める任務を委託されました。

 

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Cass Review
Independent Review of Gender Identity Services for Children and Young People
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